がんを明るく生きる

命に感謝、支えてくれた人々に感謝―園田マイコ(モデル)

2015年7月8日

ときどきは人に頼ったり甘えたりしてもいい

vol6_sonoda02「性格も変わったかもしれません」と言う。以前は「他人に迷惑をかけまい」との思いが強く、人には絶対に頼れない、子どもにとっては口やかましい母親だった。しかし、今は「ときには頼ってもいい」と思うようになった。それでうまくいけば感謝するし、たとえ失敗しても自分のために時間を割いてくれたことには心から感謝したいと思う。「撮影スタッフたちに意を決してがんであることを打ち明けた際、包み込むようなやさしさで『一緒にがんばりましょう』と言ってくれたことは生涯忘れません」。彼らは園田さんの治療スケジュールや体調を気づかって、彼女の撮影を最優先にし、また短時間で終わるようにしてくれた。

治療中でも園田さんは、モデルという職業を生かしてファッションを楽しんだ。抗がん剤治療の副作用で脱毛するとウイッグが必要になり、なかにはセミオーダーで20万円もするものもある。しかし、「高いものでなくてもおしゃれは楽しめる」と、10分の1くらいの値段で複数のウイッグを購入すると、帽子やスカーフとの組み合わせを工夫。病気だからできないと嘆くのではなく、病気のときにしかできないおしゃれもあると言う。

昨年の夏、ホルモン療法を最後にすべての治療を終えた。

「再発は心配ですが、医学の進歩を信じています。今にがんなんて吹き飛ばすような新しい治療が誕生することでしょう」

(右上・左)24 歳のとき、結婚を機に夫の仕事の拠点であったニューヨークに移り住んだ。オーディションを経て、ニューヨークでもモデルとして活躍の場を得ていた。(右下)モデル事務所のオーディションに合格し、ウォーキングやメイクなどを習っていたころ。当時はインテリアに興味があり、インテリアデザインの専門学校にも通っていた。
(右上・左)24 歳のとき、結婚を機に夫の仕事の拠点であったニューヨークに移り住んだ。オーディションを経て、ニューヨークでもモデルとして活躍の場を得ていた。(右下)モデル事務所のオーディションに合格し、ウォーキングやメイクなどを習っていたころ。当時はインテリアに興味があり、インテリアデザインの専門学校にも通っていた。
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園田さんの著書『モデル、40 歳。乳がん1年生。』(株式会社ベストセラーズ)の表紙。「病院の理容室で思い切って坊主にしたら、理容師さんに『似合うね』と言われてちょっといい気分でしたよ」と当時を振り返る。

園田マイコさんの今

ファッション誌を中心にモデルとして活躍する傍ら、自らのがん体験を語ることで患者さんたちを元気にしたいと講演活動を続ける。がん体験については、ブログで公開し、著書にもまとめた。ブログを読んだ人からは、「私も同じ乳がんで同じステージなので、園田さんの体験がとても参考になる」とのコメントが寄せられる。また、著書には、脱毛してもおしゃれに過ごせるファッションを提案したり、治療中の食欲のないときにも食べられる料理などを紹介したりして、好評を得ている。

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