数字から見る「がん治療」の今

知っておきたい「がん大国日本」の現状とは?

2013年4月12日


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年間約70万人が、新たにがんと診断される今―。
もしがんと診断されたならば、いたずらに恐れることなく、まずはがん自体のこと、そして治療の現状を十分に知ったうえで、冷静に戦略をたてることが必要であろう。
ここでは、各種デ― タから、がん治療の現状を読み解いてみよう。

 

がんとの終わりなき闘いに挑む治療の現場

3人に1人ががんで死亡する時代が到来。年間約35万人ががんで死亡

現在日本では、「2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで死亡する」といわれ、死亡率は増加の一途をたどる(図①)。我々を脅かすがんは、正常な細胞の遺伝子が傷つくなどして発生した異常な細胞である。しかし、こうした細胞の変異は、誰の体内でも、毎日何千という単位で起きていると考えられている。通常は、免疫細胞が、常に異常細胞を排除しているので、大事に至ることはない。だが、がん細胞のなかには、免疫細胞の攻撃をすり抜けて生き残ってしまうものがいる。

現在、画像検査などで発見できるがんの最少サイズは約1cm。そこまでに成長するには細胞は10億個になり、少なくとも約10〜15年の時間を要する。免疫の監視の目をかいくぐり、十年以上もの歳月をかけて、目に見える大きさになったものが、がんである。

 

   図① 主な死因別に見た死亡率の年次推移

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図② 死因別年齢調整死亡率の年次推移nenreichosei_shiboritsu01

がん治療は進化しているのか?5年生存率と死亡率から見えるものは

がんは長い時間をかけて体内に巣食う。つまり高齢化が、がんの死亡率上昇の一因といわれているが、理由はそれだけではない。

高齢化の影響を取り除いた「年齢調整死亡率」(図②)を見てみると、ほかの疾患の死亡率は低下しているにもかかわらず、がんの死亡率はほぼ横ばいである。がんは 昔も今も治りにくい病気であり、その治療法には、いまだ決定打が見つからない、という厳しい現実が浮き彫りになってくる。

図③ 全がん、胃がん、結腸がん5年相対生存率sotaisezonritsu01

 

進行がんの治癒を目指すには先進的な医療も選択肢の一つになる

現在、がんと闘うには、外科療法、放射線療法、抗がん剤などの化学療法が標準治療とされ、各々に一長一短がある。ちなみに、全身に転移した遠隔がん になると、治療法は抗がん剤に限られ、根治が見込めるがん種は少ないのが実情だ。それは進行度別5年生存率のデータ(図③)を見ても明らかである。やはりがん治療においては、早期発見、早期治療が基本であり、治療後も再発や転移を防ぐための術後の治療が重要といえる。

さらに、こうした三大標準治療の限界を打破するべく、がん治療の現場では、日々新たな治療法が研究・開発されている。がんだけを狙い撃ちする重粒子線治療や分子標的薬、そのほか、がんの目印となる抗原を投与し、身体の中の免疫細胞に覚えさせるペプチド・ワクチンや、患者自身の免疫細胞を身体の外で大幅に活性化・機能化してがん細胞を攻 撃させる免疫細胞治療などの新しい治療法が注目を集めている。

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患者自身が客観的で優良な情報を見極め、積極的に自らの治療法の選択に参加する―。従来の標準治療に加え、進化する新たな治療オプションを視野に入れることで、がんに打ち勝つための希望も広がるに違いない。

 

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