数字から見る「がん治療」の今

名医が提案・実践する 受けて「よかった」と思えるセカンドオピニオン

瀧澤 憲(たきざわ・けん)
がん研有明病院顧問

自分の病状やライフスタイルに合ったより効果的で安全な治療を受けたいと、書籍やインターネットで情報収集に努める人は多い。情報があふれ、医学が進歩を続ける時代だからこそ、必要とされるセカンドオピニオン。
「今後もその需要は高まるはず」という瀧澤医師に、患者さんがその恩恵にあずかるための正しいセカンドオピニオンのあり方について聞いた。

 

セカンドオピニオン(第2の意見)とは主治医とは別の医師に意見を求めること

不信感があるからセカンドオピニオンで主治医を変えたい、もっと有名な医師にかかりたいといった類(たぐい)の言葉を耳にしたり、発したりしたことはないだろうか。がん研有明病院やセカンドオピニオン専門外来の「がん相談蕩蕩(とうとう)」で長年婦人科がんのセカンドオピニオンを担当する瀧澤先生は、セカンドオピニオンについてもっと正しく理解する必要があるという。

セカンドオピニオンとはその言葉通り、治療方針について主治医とは別の医師の意見を聞くことで、病院や医師を変えるために行うものではない。「主治医を信頼しているが、他の医師だったらどう考えるか」と患者さんが思い、主治医に相談することで始まる。

終了後はその意見を主治医の元にもち帰り、セカンドオピニオンも加味してもらって治療を続けるのが基本。瀧澤先生は、「病院や医師を変えたいなら、セカンドオピニオンではなく、他の病院に再度初診でかかるべき」と説明する。

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セカンドオピニオンの必要性は今後さらに高まっていく

「様々な情報が手軽に得られる情報化社会に生きる人なら、主治医のいうままに治療を受けてもよいのだろうかと疑問に思うのは当然のことです」と瀧澤先生。それで順調に回復すればいいが、思うような結果が得られなかった場合、「もっと調べて、違う治療法を選べばよかった」と悔やむ患者さんも少なくない。

そんな後悔をさせないためにも、センドオピニオンは必要で、「5年後、10年後にはもっと増えていくでしょう」と予測する。

セカンドオピニオンが注目される背景には、以下の囲みに示したように、自分の治療に対して積極的に向き合う患者さんが増えている背景がある。「副作用の少ない治療」「仕事や日常生活に支障のない治療」「より効果的な治療」を求めるのは、今や当たり前のことだ。

なかには「セカンドオピニオンを受けたいのだが、主治医に申し訳なくて切り出すことができない」という患者さんもいるが、そうした遠慮は実は必要ない、と瀧澤先生はいう。

「セカンドオピニオンを受ける場合は、より経験豊富な医師や専門医がいたり、設備が整っていたりと、現在治療を受けている病院よりハード面でもソフト面でもレベルが上の施設に行くのが基本です。そうしたセカンドオピニオンは、主治医にとっても有意義な意見や経験が得られることが多く、複数の医学論文を読んだくらいの勉強になることがあるのです」

経験豊富な医師が自分の治療方針に太鼓判を押してくれれば、それが自信となり、患者さんのほうも安心感をもつため、信頼関係がさらに深まったりもする。

セカンドオピニオンは、患者さんの疑問を解決するだけでなく、主治医にとっても意義のあることといえよう。

<セカンドオピニオンが必要とされる理由>
▶治療に対して積極的な患者さんの増加
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vol9_suji02▶医療情報が手軽に入手できる環境
患者さんの周囲に情報があふれ、書籍やインターネットなどから情報を簡単に入手できるので、自分が受ける予定の治療より、もっとよい治療が他にあるのではないかという不安や疑問を抱きやすい。

医療レベルの格差
全国どこでもがんの専門医療を受けられるように、医療技術などの格差の是正が図られているが、現実的にはまだまだハード面、ソフト面で施設間格差が存在する。患者さんは、現在かかっている医療施設が、自分の受けるべき治療を十分に行えるレベルにあるかどうかを知りたがっている。

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