女性のための最新がん治療

女性のがんと免疫細胞治療の専門医が贈る「女性のための最新がん治療」

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がん治療の分野で、手術、化学療法、放射線治療の三大療法に加えて注目されている「免疫細胞治療」。人間がもともと持っている“免疫”の力を高度な技術で強化して、がんを攻撃するという治療法だが、自らの細胞を使うことから大きな副作用がなく、三大療法と組み合わせることで相乗効果が期待できる。

この免疫細胞治療に1999年から取り組んできた瀬田クリニックグループ。そして、この度、同グループ統括院長の後藤重則医師と、国内でも有数のがん専門病院であるがん研有明病院の顧問/元副院長・前婦人科部長の瀧澤憲医師が共著で執筆した著書『自分の細胞で治す 女性が知っておきたい最先端がん治療』(PHP研究所)が7月19日に刊行された。そこで、本サイトでも後藤医師に「女性とがん治療」についてお話を伺った――。

 

日本人女性のがん検診受診率は世界各地に比べて低い

――この度は、『自分の細胞で治す 女性が知っておきたい最先端がん治療』の刊行、おめでとうございます。まずお聞きしたいのは、今回の著書についてです。女性が対象ですが、どういう背景があったのでしょうか。

後藤 :

我々はがん治療に従事するなかで性別に関係なく多くの患者さんに接しています。
そのなかで、特に女性は、ご自身ががんと診断された場合はもとより、ご家族が罹患された場合などでも家族のまとめ役になったり熱心に情報収集をするといったように、主導権を持つこともが多く、がん治療のなかで女性の役割は大きいです。そういったこともあり、今回は女性に向けた内容でまとめました。

がん研有明病院の前婦人科部長で、日本の婦人科がん治療をリードしてこられた瀧澤先生との共著であることも非常に意味のあることだったと思います。

内容としては女性特有のがん、また女性に増えているがんを取り上げていますが、女性のがん患者さんだけではなく、ご家族にがん患者がいらっしゃる女性にも読んでいただきたいですね。

――著書では、女性のがん検診受診率が世界各国に比べて低いと指摘されていますよね。そういった意味でも、目を通してほしいとお考えでしょうか。

後藤 :

そうですね。早く見つければ治るがん患者さんは多く、早期発見・診断はとても大事です。
瀬田クリニックグループにいらっしゃる患者さんも、ある程度進行してから見つかった方が多いのですが、検診を受けていれば早期発見でき、早い段階で治せたというケースは少なくありません。

費用は多少かかっても、健診により早く見つかり少ない治療費で治せる方が増えれば、医療経済上のメリットも大きいはずです。検診には定期的に足を運んでいただきたいと考えていますし、本書がその一助になれば幸いです。

 
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免疫細胞治療は、「4番目の治療」ではなく、「三大療法との併用」

――後藤先生は、1999年の瀬田クリニック開院以来、16年間免疫細胞治療の診療に従事なさっています。著書でも、「4番目の治療方法」「4分の1として選ぶ」のではなく、他の治療法と併用して捉えてほしいと書かれていますが、いかがでしょうか。

後藤 :

当初は、手術、放射線や抗がん剤の次に登場したこともあり、「第4の選択肢」というフレーズを使っていました。ですが、4番目に選択する治療法ではなく、あくまで三大療法に次に出てきた治療法という意味で使っていました。

免疫細胞治療は治療原理が他と異なり、メスで取り除く、放射線で叩く、抗がん剤で弱らせるという、がん細胞に直接ダメージを与える方法と一線を画したものです。

自己の免疫機能を強化しますから、身体への負担が少なく、既存の治療と組み合わせることが可能です。とりわけ、放射線治療や抗がん剤治療は、がん細胞と同時に、正常な免疫細胞も減少させ、弱らせてしまうので、免疫細胞治療でそれを防ぎながら通常の治療も並行することで、結果がよくなると考えられます。

――免疫細胞治療は、がん患者の生存率を高める、あるいは生活の質を落とさないという長所もあるとお聞きしています。

後藤 :

ひと昔前は「がんを治すためなら治療がきつくても仕方がない」「生活の質が落ちても当然だ」という考えでしたが、いまは違います。

良い生活のレベルを維持しながらいかに長期生存していくか、ということが治療目的のひとつです。
簡単にいえば、「元気で長生きする」ということです。
以前は、副作用が強くても一時的であれ抗がん剤で縮小させる、後遺障害があったとしても手術で広く取るなど、なんとかがんを小さくしようとしていましたが、一方で徒労に終わっていたことも否めません。

また、生活レベルが落ちることは、患者さんのその後の人生には重要な問題です。

――医師に求められる役割にも変化があったのではないでしょうか。

後藤 :

がんはまだ必ず治せる病気ではありません。
そのなかで、「どういった治療をするのか」「何が最良なのか」を、患者さんをひとくくりの集団で考えるのではなく、おひとりおひとりで考えるようになりました。

治療ガイドラインに照らすと「集団ではこういう方法が良い」と一律になりますが、実際はご病気の状態も経過も均一になることはなく、さらに患者さん一人ひとりの人生観や価値観を重視し、その上で相談しながら最良の方法を一緒に考えていくことが求められます。

――免疫細胞治療は、この16年でどれほど進歩したでしょうか。

後藤 :

登山に例えるなら、16年前は二合目でしたが、いまは五合目を超えたという実感があります。
広く免疫療法の観点で見ると、免疫を改善する様々な方法が出てきました。これらを組み合わせることで、どんながんにも負けない免疫系を身体に作っていく。そんな時代もそれほど先ではないと思います。

いまでも、三大療法と免疫細胞治療を併用することで、標準治療の限界を超えるような結果が得られることも少なからずあります。

 
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女性にこそ知ってほしい、体への負担の少ない「免疫細胞治療」

――女性のがん患者さんは増えているのでしょうか。

後藤 :

罹患率はほとんどのがんで増えていて、特に子宮がん、卵巣がん、乳がんなど女性特有のがん罹患者数は顕著です。
ただし、子宮頸がんは早期発見することで死亡者数は減っています。

遺伝的・後天的な理由がありますが、後天的なものとして、大きくは生活習慣―食生活が欧米型に近くなったことや、タバコなど様々な影響があるでしょう。昔は日本で多かったがんが減った代わりに、欧米で多かったがんがよく見られるようになりました。

――女性には、出産や子育てなど、特有のライフイベントもあります。がん治療が低侵襲であることも重要だと思いますが。

後藤 :

性別は問わず低侵襲(体への負担が少ない)であることは重要ですが、子育てや家事に忙しい女性が生活レベルを維持しながら副作用もなく治療できるというのは、非常に大切です。

例えば、髪が抜けるといっても、男性だと「また生えるよ」と思えるかもしれませんが、女性にとっては深刻なこと。それを踏まえても、免疫細胞治療には意味があるでしょう。

がんという病気は厄介で、早期がんだと思っていても再発したりと、手ごわい病気です。治療も多岐にわたり、ガイドラインがあっても、一人ひとりの対応が必要です。患者さんやそのご家族にも様々な考えがあるでしょうから、医師としっかり話をして、必要であればセカンドオピニオン、サードオピニオンも受けてください。

そういうなかで、標準治療だけではなく免疫細胞治療という選択肢について知っていただければと思います。

――後藤先生、本日はありがとうございました。

 
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後藤 重則(ごとう しげのり)
医療法人社団滉志会(こうしかい) 瀬田クリニックグループ統括院長

1981年、新潟大学医学部卒業。1985年、県立がんセンター新潟病院。
帝京大学医学部などを経て、1999年瀬田クリニック(現・瀬田クリニック東京)、
2001年より同院長。
【所属学会等】日本免疫治療学研究会(理事)、日本癌学会、日本産科婦人科学会など。