がん免疫療法Q&A

Q.がん免疫療法に副作用はありますか?

回答者:後藤重則(ごとう・しげのり)
医療法人社団 滉志会
瀬田クリニックグループ統括院長

A.従来の化学療法のような副作用は見られませんが、がん免疫療法にもいくつか種類があり、注意が必要なものもあります。

 

 
がん免疫療法とは、患者さんの体内の、がん細胞に対する免疫の反応を応用して、病気をよくしようという治療の総称です。現在行われている免疫療法は3つに大別され、それぞれで副作用の出方は変わってきます。

 

副作用の少ない免疫細胞治療

1つ目は、がん細胞だけがもつ目印(がん抗原)をねらう免疫反応を利用する治療です。樹状細胞ワクチン療法やがんワクチンなどが該当します。これらは、がん細胞のみをねらい撃つので、正常な細胞には影響がなく、理論的にも副作用はほぼないといえます。

2つ目は、体内の免疫全体を高める治療で、がん細胞が目印を隠している場合などに選択されます。血液中の免疫細胞を体外で増殖・活性化し、体に戻す活性化自己リンパ球療法(NK細胞療法、アルファ・ベータT細胞療法など)が該当します。この治療は免疫全体を増強しますので、がん細胞を攻撃する以外の免疫の働きも高める可能性があります。免疫は過剰に働きすぎると、本来攻撃すべきでない相手(正常細胞)まで攻撃する「自己免疫疾患」を発症する場合があります。当院などで通常行っている免疫細胞治療では、こうした自己免疫疾患を新たに発病させることは経験上まずありませんが、すでに疾患をおもちの患者さんについては、まれに悪化させる場合があるため、治療は慎重に行います。

 

重篤な副作用の危険性もある免疫チェックポイント阻害剤

3つ目は、最近出てきた免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれる薬剤による治療です。これは、先に挙げたような自分自身の免疫を使った免疫細胞治療に比べ、薬剤が人為的な作用を起こすため、治療効果が強い一方、1型糖尿病や間質性肺炎、橋本病(甲状腺の慢性の炎症)といった自己免疫を介した副作用を発症させる場合があります。これらは化学療法で起こるものとは違うタイプの副作用で、出現の頻度は高くはありませんが、重篤になるケースもあり、治療の際は注意が必要です。

このように免疫療法の副作用は、体の中で自然に起こっている免疫応答の範囲でそれを利用した治療か、その範疇(はんちゅう)を越えて自然には起こらないような作用を起こしている治療かによって異なります。「免疫療法イコール副作用が少ない」という認識をおもちの方も多いかもしれませんが、後者の場合には副作用の可能性も考慮し、専門医師のもとでの慎重な対応が欠かせません。

 

後藤重則
医療法人社団 滉志会
瀬田クリニックグループ統括院長
ごとう・しげのり●1981年、新潟大学医学部卒業。県立がんセンター新潟病院、帝京大学医学部講師などを経て、1999年、国内初の免疫細胞治療専門医療機関である瀬田クリニックへ。2001年、同クリニック院長(現任)、2017年、順天堂大学大学院医学研究科 次世代細胞・免疫治療学講座客員教授(現任)。著書に『免疫細胞治療』(共著・河出書房新社)、『自分の細胞で治す 女性が知っておきたい最先端がん治療』(共著・PHP研究所)など。(取材時現在)

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