長寿村を訪ねて

フンザ-パキスタン・イスラム共和国

長寿村を訪ねてVOL.2

20世紀初めに発見された桃源郷の健康の秘密

パキスタン北部には、カラコルム山脈に属する7000メートル級の山々が峰を連ねる。山間の道は、パキスタンと中国の新疆ウイグル自治区を結んでいて、その道中に広がる美しい渓谷にフンザはある。「桃源郷」とも言われるこの村では、住人が農業や、ヤギ、羊などの畜産業で生計を立てており、現代社会とはかけ離れた時間の中で暮らしが営まれている。

フンザに関心が集まるようになったのは、20世紀初頭にイギリス人医師ロバート・マッカリソンが、アメリカの医師会雑誌『ザ・ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション』に「フンザ人にはがんは発見されなかった」と、発表したことがきっかけと言われている。

フンザの人々の主食は、チャパティと呼ばれるビタミン類やミネラルが豊富な全粒粉と水を捏ねて作ったインドのナンのようなパンで、これにチーズやマトンのミンチを挟み、杏オイルを塗って食す。杏はオイル以外でも、夏は生で、冬には乾燥させて日常的に食べられている。

マッカリソン医師は「フンザには豊富な杏があり、これを日干しにして日常多食している」と、記録を残している。果物や穀物が中心のフンザの食事は低脂肪、高繊維、適正カロリー。そして、がんの発生リスクも低い。マッカリソン医師が発見した「がんゼロの村」の秘密は、こうした近代化以前の食生活にあった。

長寿村のパワーフード 杏

長寿村を訪ねてVOL.2バラ科サクラ属の落葉小高木で、ジャムやシロップ漬けにして日本でも食されている。杏には、βカロテン、カリウム、クエン酸、リンゴ酸が多く含まれており、高血圧や動脈硬化を防ぎ、疲労回復にも効果があるとされている。フンザでは杏以外にも、桑の実などを食べる習慣がある。果物には、発がんを防ぐと言われるビタミンや食物繊維を多く含むものも多いが、糖分も多いので適度な摂取を心がけたい。