長寿村を訪ねて

ビルカバンバ-エクアドル共和国

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都会から隔絶され、自然の恵みを生かした伝統の食習慣こそが長寿の秘密

アンデスの山々が連なる南米エクアドルの南部にあるビルカバンバ。「聖なる谷」という意味の標高1700メートルの高地に位置するこの村は、赤道直下にありながら気候は温暖で、一年中新鮮な野菜や果物が実るという。「生命の水」と呼ばれるせせらぎも流れ、自然の恵み豊かな秘境として知られてきた。

世界3大長寿地域の一つとしてビルカバンバが注目され始めたのは、1955年に米誌『リーダーズ・ダイジェスト』が、「心臓病と骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の患者が少ない村」として紹介したのがきっかけとされる。その後、世界各国から調査団が訪れ、長寿の住民が多いことも明らかになった。

摂取カロリーで比較するなら、日本の大人の平均的摂取量が2500〜3000キロカロリーであるのに対し、ビルカバンバの人たちの摂取量は、その約半分とも言われている。

予防栄養医学者の家森幸男氏もこの地を調査で訪れた一人で、健康長寿の理由を「伝統的な食習慣」と紹介している。主な伝統食としては、フレッシュチーズの「ケソ」、食物繊維とカリウムの豊富なユッカ(イモ)とトウモロコシが挙げられ、食物繊維には脂肪や塩分の吸収を抑える働きがあるとされる。移住者の増加により、最近では食生活も都会的になりつつあるが、伝統を見失わない限り、ビルカバンバは長寿村であり続けることだろう。

長寿村のパワーフード ケソ
vol5_choju_02牛の十二指腸から抽出したエキスで牛乳を固めた豆腐のようなフレッシュチーズ。あっさりとした味わいで、市場ではバナナの葉に包んで売られている。各家庭ではケソでスープを作ってみそ汁のように飲み、また、様々な料理に入れて毎日食べるという。血管をしなやかにするタンパク質、カルシウム、ビタミン、乳酸菌など、生活習慣病や老化の予防に役立つとされる有効成分が豊富に含まれている。