長寿村を訪ねて

巴馬(バーマ)-中華人民共和国

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100歳以上の健康老人を支えるのは自然と一体の営みと薬食同源の食生活

2013年、当時、世界最高齢とされる127歳の女性が亡くなった。その女性が暮らしていたのは、ベトナムとの国境に近い中国南部に位置する広西チワン族自治区「巴馬」。国連が定めた「長寿の郷」の基準は、100歳以上の高齢者数が10万人当り7.5人以上とされているが、巴馬の比率はおよそ31人と大きく上回り、世界5大長寿郷の1つとして知られる。しかも、高齢者たちは野良仕事をこなしながらカクシャクと暮らす。寝たきり老人がいない、不老神仙の里との噂を聞きつけ、「巴馬詣で」をする人々が増えているという。

その長寿郷は、海抜400〜600メートルのカルスト台地の切り立った山々に囲まれた渓谷にあり、文明とは隔離された環境にある。そのため、昔から自給自足の自然に逆らわない生活を営んできた。長寿の秘密は規則正しい生活と、トウモロコシを中心とした粥(かゆ)を主食とし、滋味あふれる季節の山菜や野草、薬草を使った「薬食同源」の質素な食生活にあると考えられている。なかでも長寿食として注目されているのが、麻の実の「火麻(ひま)」だ。彼らはこの実をつぶしたものや絞った油を料理に使い、年間15〜20キログラム摂取している。

巴馬には、アトピー性皮膚炎の子どもや認知症の高齢者がいないそうだ。そのことからも、火麻を取り入れた薬食同源の食事が、健康長寿の一翼を担っていることは間違いないだろう。

長寿村のパワーフード 火麻(ひま)
cyojumuravol.6_03漢方では火麻仁(ひまにん)や麻子仁(ましにん)と呼ばれ、かつては日本でも食されていた。成分の8割がリノール酸、α(アルファ)リノレン酸などの必須脂肪酸で、バランス良く含まれている。これらの成分には、血管をしなやかに保ち、脳や神経細胞の生成を促す他、血栓予防、アレルギーや炎症を抑制する働きがあると言われている。さらに抗酸化作用の高いカンナビシンAやγ(ガンマ)トコフェロールも含有。エイジングケア食品として注目される。