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iPS細胞への期待を契機に大きな一歩を踏み出した再生医療に関する規制改革とは

2014年1月27日

「再生医療推進法」で再生医療は国主導の体制に

2013年4月26日の参議院本会議で、再生医療の実用化に向けての大きな一歩となる「再生医療推進法」が、全会一致で可決・成立した。

「再生医療」が大きく取り上げられたのは2012年秋のこと。京都大学の山中伸弥教授が、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究業績によって、ノーベル生理学・医学賞を受賞したことがきっかけだった。

再生医療は、病気やケガなどで失われた組織、臓器などの再生を目指すものである。臓器移植と異なり、患者本人の細胞を用いた再生医療は拒絶反応が少ない。とくに、あらゆる細胞への分化が可能とされるiPS細胞には、大きな期待が寄せられている。山中教授を擁する日本の再生医療研究――。「推進法」の成立は、国をあげたバックアップを明確にした格好だ。

これまで再生医療の臨床研究については、国の指針をもとに各医療機関が対応してきたが、推進法の成立により、今後は国の主導のもとで再生医療の実用化に向けての体制を築くことになった。具体的には、研究開発から実用化までの基本方針を国が策定し、財政、税務上の措置、大学など研究機関の助成・環境整備も国が行うことを義務づけたことである。同時に医療関係者、事業者にも協力を求め、研究開発の迅速化を図る方針だ。さらに、基本方針は3年ごとに見直され、状況に応じて更新されるのも大きな特徴といえる。

安全な再生医療を迅速に提供するために

再生医療が一般に普及するためには、まだまだ時間を要する。そこで厚生労働省は、再生医療の研究開発から実用化までをできるだけスムーズに進め、患者の安全性を確保しながらも再生医療を迅速に提供することを目的とした新たな法案を国会に提出した。

その「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案」と「改正薬事法案」は、「推進法」を補完する形になっており、現在審議が行なわれている。「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案」では、臨床研究、および自由診療として再生・細胞医療が実施される場合に、治療の内容に応じて三つに区分されている。一つめは認定再生医療等委員会の意見を聴いた上で、厚労相への届出が必要なもの(がんの免疫細胞療法など低リスクのもの)。次に、特定認定再生医療等委員会の意見を聴いた上で、厚労相への届けが必要なもの(骨髄などの幹細胞を用いた治療など中リスクのもの)。最後は、同委員会の意見を聴いた上で厚労相に申請、その後厚生科学審議会の意見を聴いて安全性等の確認が必要なもの(iPS細胞など高リスクのもの)と定められている。事実上の公的承認制度の導入で、すべての細胞医療に国への届出義務を課し、治療の安全性を確保することを狙いとしているのだ。

さらに、低コストで効率的な治療の実現を目指し、これまでは医療機関にしか認められていなかった治療用の細胞培養・加工について、企業への外部委託を認める内容となっている。

また、改正薬事法案では、ヒトの細胞を利用した製品を「再生医療等製品」と定義。再生医療等製品の特性を踏まえ、一定の安全性が確認されたものについて条件付早期承認を行い、いち早く治療に利用できるようにする。加えて、市販後にさらなる有効性・安全性を十分に検証することを義務付けることで、迅速に提供しつつ、安全性を確保することを目的としている。

今後、再生医療が国民の健康に広く寄与するために、これらの法整備は欠かせない。日進月歩で研究が進む新たな治療法。その1日も早い実用化に向けた推進力になることを期待したい。
(2013年6月時点)

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