「最近、抜け毛が増えた気がするけど、まだ薄くなってはいない」そんな風に感じている方も多いのではないでしょうか?
抜け毛が多いからといって、必ずしも将来的にハゲるとは限りません。
本記事では「抜け毛が多いけどはげない人」の特徴に焦点をあて、毛根の状態や男女の違い、そして正しい対策方法まで、わかりやすく解説していきます。
抜け毛が多いけどはげない人の特徴
ヘアサイクルから考えると、1日に50〜100本ほどの抜け毛は生理的範囲内であるため、問題ありません。また、秋は髪の毛が抜けやすい時期といわれており、200本ほど抜けることもあります
抜け毛が多いけどはげない人の特徴
・毛周期(ヘアサイクル)が正常に保たれている
・毛根が健康で再生力がある
・一時的な脱毛や季節的変化によるもの
抜け毛の本数が多くても、正常な範囲内であれば薄毛に進行しない場合が多いです。
毛周期(ヘアサイクル)が正常に保たれている
髪の毛には「成長期」「退行期」「休止期」という3つの段階からなるヘアサイクルがあります。髪の約85%〜90%が成長期に当たると言われ、一般的に成長期は2〜6年ほど続き、この期間で髪の毛は一日に約0.4mm伸びます。
このサイクルが正常に働いていれば、抜け毛が多くても新しい髪が生えてくるため、全体的な髪の量は維持されます。健康な人でも日々の抜け毛は自然な代謝の一部です。
毛根が健康で再生力がある
健康な毛根はマッチ棒の先端のように、ふっくらと膨らんでいます。また、毛根の先に白い膜のようなものが付着していますが、これは毛根鞘といい、毛根と頭皮をつなぎ止める役割を担うものです 。
健康的な毛根を持つ抜け毛は、正常な過程を経て抜けたものであり、新しい髪を生やす再生力が保たれている証拠です。
一時的な脱毛や季節的変化によるもの
抜け毛は、秋になると200〜300本まで増えることもあります。春は、新しい環境で生活を始めることによるストレスが原因で抜け毛が増えやすくなると考えられます。
季節的な抜け毛は一時的なものであり、時間の経過とともに自然に落ち着いていきます。ホルモンバランスの一時的な乱れによる抜け毛も同様で、原因が解消されれば回復することが多いです。
危ない抜け毛と正常な抜け毛の見分け方
抜け毛が増えたときに重要なのは、その抜け毛が正常なものか異常なものかを見極めることです。自分でチェックできるポイントを詳しく見ていきましょう。
危ない抜け毛と正常な抜け毛の見分け方
・毛根が黒くて小さい、細い抜け毛は注意
・白くて太い毛根は自然な抜け毛
・抜ける場所が特定の部位なら薄毛の兆候かも
毛根が黒くて小さい・細い抜け毛は注意
毛根が黒い場合は、ヘアサイクルの成長期、もしくは退行期で抜け落ちているおそれがあり危険です。成長期の途中で抜けてしまうということは、髪が十分に成長できていない状態を示しています。
毛根全体が黒い場合は、ストレスや睡眠不足などが原因で血行不良に陥り、髪の毛に栄養が十分に届いていないおそれがあります。このような状態が続くと、徐々に薄毛が進行する可能性があります。
白くて太い毛根は自然な抜け毛
正常な抜け毛では、抜けた毛の根元に白色、もしくは透明の毛根が残っています。白い毛根は、休止期に入りメラニン色素の減少で色が薄くなった毛根です。そのため、正常なヘアサイクルで髪の毛が抜けている証拠といえます。
抜ける場所が特定の部位なら薄毛の兆候かも
AGAは進行パターンがあり、特定の部位から始まるのが特徴です。主に額の生え際(特にこめかみ付近)から後退し始め、次に頭頂部が徐々に薄くなっていきます。
「M字型」や「O字型」と呼ばれる典型的な進行パターンです。
女性の場合は、頭頂部もしくは全体的に均一に抜けていくことが多いのが特徴です 。部分的に集中して抜ける場合は、AGAやFAGAの初期症状の可能性があるため注意が必要です。
毛根の種類から見る抜け毛のリスク
毛根の状態を詳しく観察することで、抜け毛のリスクレベルを判断できます。具体的な特徴を見ていきましょう。
正常な毛根の特徴(白・丸・太い)
健康な毛根には以下の特徴があります
- 色
正常な毛根は白っぽくなっているのが特徴 - 形状
健康な毛根は、丸いマッチ棒のような形。先端は薄っすらと白く、ふっくらしているのが特徴 - 毛根鞘
毛根部分にある透明で白い膜のようなものは、医学的には毛根鞘(もうこんしょう)と呼ばれるもので、毛根部と頭皮を繋ぎつなぎとめるために存在
上記特徴を持つ抜け毛は、正常なヘアサイクルを経て抜けたものであり、心配する必要はありません。
異常な毛根の特徴(黒・細い・ない)
注意が必要な毛根の特徴
- 毛根が黒い
ストレスなどによる頭皮の血行不良のため、毛根が黒くなることも。毛根が黒い場合、一気に髪の毛が抜け落ちる可能性があるため注意が必要 - 毛根が細い・小さい
通常の毛根より、細い、あるいは小さい場合は、毛根の寿命が短くなっている可能性が高い。栄養不足や血行不良、あるいは毛根組織が弱っている場合が考えられます - 毛根がない
抜け毛に毛根が認められない場合は要注意です。もしかしたら薄毛になり始めているのかもしれません。毛包の機能低下や萎縮が進行している可能性があります。 - 形が変形している
毛根がギザギザしているなど、毛根の形が変形している場合、精神的・身体的な強いストレスが原因になっていることが多い
男性と女性で異なる抜け毛の原因と進行パターン
男女では脱毛の原因やメカニズム、進行パターンが大きく異なります。それぞれの特徴を理解することで、適切な対策が可能になります。
男性はAGAによる脱毛が多い
AGAは高熱を伴う感染症に罹患した後や、血流が悪くなるような生活習慣があると進行しやすくなります。男性の薄毛の主な原因は、男性ホルモンの影響によるAGA(男性型脱毛症)です。
AGAには、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる、男性ホルモン・テストステロンと5αリダクターゼ(還元酵素)が結合してできた悪玉脱毛ホルモンが大いに影響しています。
男性のAGAの特徴
・M字型の進行
額の生え際、特にこめかみ部分から後退
・O字型の進行
頭頂部から円形に薄くなる
・進行性
放置すると確実に進行する
・早期発症
20代から症状が現れることもある
女性はびまん性脱毛やホルモン影響が強い
女性の薄毛は、頭頂部もしくは全体的に均一に髪が抜けていくことが多いのが特徴です。髪の毛全体のボリュームが無くなる症状を「びまん性脱毛症」と言います。
女性の脱毛の特徴
・全体的な薄毛
「びまん」とは「一面に広がる」という意味で、男性のように部分的に脱毛が進むのではなく、頭皮全体が薄くなるのが特徴
・ホルモンバランスの影響
更年期や出産後などホルモン変動時に発症しやすい
・FAGA(女性男性型脱毛症)
女性ホルモンの著しい減少が原因で発症するびまん性脱毛症が「FAGA(女性男性型脱毛症)」
・完全に禿げることは少ない
男性と違い、全体的に薄くなるものの完全に髪がなくなることは稀
男女別に合ったケアが必要
男女で脱毛のメカニズムが異なるため、治療法も異なります。
男性の場合
- フィナステリドやデュタステリドなどのDHT抑制薬が有効
- ミノキシジル外用薬の併用
- 生活習慣の改善(喫煙、飲酒の制限など)
女性の場合
- ミノキシジル外用薬(女性は2%まで)
- パントガールなど女性専用の治療薬
- ホルモンバランスを整える治療
男性のAGA治療薬として使用されているフィナステリドやデュタステリドといった有効成分においては女性が使用した場合のリスクが高いため、女性への投与が禁忌されています。
抜け毛が多い時におすすめ!毛根セルフチェックの方法
実際に抜け毛を観察する簡単なチェック方法をご紹介します。自分の抜け毛の状態を正確に把握することで、早期に適切な対策を取ることができます。
事前準備
- 実際に抜けた髪の毛(シャンプー後やブラッシング後のもの)
- 拡大鏡(ルーペ)
- 白い紙またはティッシュ(毛根を見やすくするため)
①毛根の色を確認する
白い紙の上に抜け毛を置いて、毛根部分の色を確認します。
- 白い毛根(丸く膨らんでいる)
=正常なヘアサイクルによる自然な抜け毛 - 黒い毛根(小さく尖っている)
=成長途中で抜けてしまった可能性あり。ヘアサイクルが乱れているかも
②毛根の形と太さを観察する
拡大鏡を使って毛根の形状を詳しく観察。
- 丸くてぷっくりしている毛根
=健康な状態で寿命を終えた髪。問題なし - 細くて丸みがない、毛根がないように見える
=毛根の退縮(ミニチュア化)が進行中のサイン。AGAやFAGAの初期段階かも
③毛の本体(毛幹)の状態を見る
髪の毛全体の太さや状態もチェック。
- 毛の太さが全体的に一定
=髪の成長が安定している証拠 - 根元のほうが細いまたは毛が極端に細い
=栄養不足やホルモンの乱れ、成長期が短縮されている可能性
④抜ける本数をざっくりカウント
抜け毛の本数は一日あたり50〜100本までが正常な範囲です。シャンプーによる抜け毛は6割程度(=30〜60本程度)だと考えられ、この本数に男女差はありません 【。
- 1日の抜け毛の目安は50〜100本
- 季節によっては150〜200本になることも
- 抜け毛1〜2本だけで判断せず、3〜5日ほどの傾向を見て総合的に判断
あくまで簡易的なチェック方法なので、不安が強い場合は専門クリニックの診断を受けることをおすすめします。
抜け毛が多いと感じたときの対策方法
抜け毛が増えたときにすぐ実践できるセルフケアから医療的対策まで、幅広い対策方法をご紹介します。
シャンプーの見直しと頭皮環境の改善
シャンプーには、界面活性剤という頭皮の皮脂汚れを除去するための洗浄成分が含まれます。洗浄力が強すぎると頭皮に強い刺激が加わり、かゆみやフケ、抜け毛といった頭皮トラブルを引き起こすことがあるのです。
正しいシャンプー方法
- ぬるま湯(38℃程度)で予洗いをしっかり行う
- シャンプーは手のひらで泡立ててから使用
- 指の腹で優しくマッサージするように洗う
- すすぎは洗う時間の2倍以上かける
- タオルドライは押さえるように優しく
シャンプー選びのポイント
- アミノ酸系の優しい洗浄成分のもの
- 頭皮の状態に合わせて選ぶ(乾燥肌用、脂性肌用など)
- 刺激の強い成分(硫酸系界面活性剤など)は避ける
バランスの良い食事と睡眠の確保
髪の毛を構成する主成分であるケラチンはタンパク質から作られます。タンパク質が不足すると髪の毛の生成が滞り、抜け毛につながることがあります。
髪に必要な栄養素
- タンパク質:肉、魚、卵、大豆製品など
- 亜鉛:牡蠣、レバー、ナッツ類
- 鉄分:ほうれん草、レバー、赤身肉
- ビタミンB群:豚肉、納豆、玄米
- ビタミンE:アーモンド、アボカド
睡眠不足に陥ると成長ホルモンの分泌が減少し、髪の毛の形成に必要なたんぱく質が十分に合成されません。
良質な睡眠のポイント
- 6〜8時間の睡眠時間を確保
- 22時〜2時のゴールデンタイムに睡眠を取る
- 寝る前のスマホやPC使用を控える
- 寝室は暗く、涼しく保つ
ストレスを減らす生活習慣
ストレスは頭皮の毛細血管を収縮するといわれています。毛細血管が収縮すると十分な栄養素を頭皮に届けられず、毛髪がうまく育たないので、髪が細く薄くなってしまいます。
ストレス解消法
- 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
- 趣味の時間を作る
- 深呼吸や瞑想
- アロマテラピー
- 十分な休息
必要なら専門クリニックで検査・相談を
抜け毛の原因がAGAである場合は一般的には薬物療法を用いて抜け毛や薄毛の改善を行っていきます。代表的な薬物では、ミノキシジルやフィナステリドがあります 。
専門クリニックを受診すべきタイミング
- 抜け毛が3ヶ月以上続いている
- 毛根に異常が見られる(黒い、細い、ない)
- 部分的に薄毛が進行している
- 家族に薄毛の人が多い
- セルフケアで改善が見られない
早期に治療を開始することで、より効果的に薄毛の進行を防ぐことができます。クリニックに通院するのが難しい場合は、AGAオンライン診療クリニックもあります。
自宅など好きな場所からスマホやPCで医師と直接診察をすることが可能で通院時間や待ち時間が発生しないため利用者が増えています。
治療薬も最短翌日には手元に届き12か月など定期便を活用すると費用を抑えて薄毛治療を開始することが可能です。
抜け毛が多いけどはげない場合もある!正しい見極めを
抜け毛が多いからといって、必ずしも薄毛になるわけではありません。重要なのは、抜け毛の「量」だけでなく「質」を見極めることです。
正常な抜け毛の特徴
- 1日50〜100本程度(季節によっては200本程度まで)
- 毛根が白くてふっくらしている
- 髪の太さが一定
- 全体的な髪のボリュームは維持されている
注意が必要な抜け毛
- 毛根が黒い、細い、ない
- 特定の部位から集中的に抜ける
- 髪が細く、弱々しい
- 抜け毛の量が急激に増加
抜け毛は誰にでも起こる自然現象です。しかし、異常な抜け毛のサインを見逃さず、早めに適切な対策を取ることで、健康な髪を維持することができます。
日々の生活習慣を整え、正しいヘアケアを心がけることが基本です。それでも改善が見られない場合は、専門医に相談することをおすすめします。早期発見・早期治療が、将来の髪の健康を守る鍵となります。
必要以上に不安にならず、正しい知識を持って冷静に対処することが大切です。抜け毛が多くても、適切なケアと対策を続けることで、健康な髪を保つことは十分可能なのです。