頭を掻いたときにポロポロと落ちる白い塊や、爪に引っかかる黄色っぽい塊。
「これって何だろう?」と不安に感じたことがある人もいるでしょう。?実はこれらの塊には様々な原因があり、放置すると頭皮トラブルや薄毛のリスクにもつながる可能性があります。
この記事では、頭皮から取れる塊の正体や原因、そして効果的なケア方法まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
正体は角栓?頭皮から塊が取れる主な原因
頭皮から取れる塊の多くは「角栓」と呼ばれるものです。
角栓とは…
頭皮の毛穴に古い角質や皮脂、老廃物、落としきれなかった汚れが混ざり合って固まったもの
実は角栓の成分は約70%がタンパク質(古い角質)で、残りの30%が皮脂で構成されています。皮脂だけなら温まると溶けて流れ出しますが、タンパク質と結合することで固い塊となり、毛穴に詰まってしまうのです。
健康な頭皮でも角栓は作られますが、通常はターンオーバー(肌の生まれ変わり)によって自然に排出されます。しかし、何らかの原因でこのサイクルが乱れると、角栓が毛穴に長期間とどまり、さらに大きく頑固な塊へと成長してしまいます。
フケとは違う?頭皮の角栓はどんな見た目をしているか
角栓とフケは似ているようで、実は異なる特徴があります。
角栓の特徴
- 頭を掻いたときにポロポロと塊で取れる
- 髪の根元に白く固まっている
- ゴマのような硬い粒状
- 爪に引っかかることがある
- 時間が経つと黄色っぽく変色することも
フケの特徴
- 細かい粉状または薄い鱗状
- 肩に落ちやすい
- 手で簡単に動かせる
- 白色または黄色味を帯びている
角栓は毛穴にしっかりと詰まっているため、フケよりも取れにくく、無理に取ろうとすると頭皮を傷つける恐れがあります。
頭皮の塊は角栓だけが原因ではない
頭皮から取れる塊の原因は角栓だけではありません。実は様々な要因が考えられます。
乾燥によるフケの固まり
→頭皮の乾燥が進むと、剥がれた角質が集まって塊になることがあります。
炎症やかさぶた
→引っ掻き傷や炎症によって皮膚が剥がれ、かさぶた状の塊になることも。
シャンプーや整髪料の残り
→すすぎ不足により、製品が頭皮に残って固まることがあります。
皮膚疾患
→脂漏性皮膚炎や乾癬などの病気が原因の場合もあります。
それぞれの原因によって対処法も異なるため、まずは自分の頭皮の状態を正しく把握することが大切です。
頭皮の白いかさぶたが取れるときに考えられる原因
・乾燥によるフケの固まり
・皮膚のめくれや小さなかさぶた
・生活習慣やシャンプー不足の影響
・乾癬(かんせん)による白いかさぶた状の塊
乾燥によるフケの固まり
空気が乾燥する秋から冬にかけて、頭皮も乾燥しやすくなります。乾燥した頭皮は、皮膚のバリア機能が低下し、角質が剥がれやすくなります。これらの角質が集まって固まると、白いかさぶたのような塊となって取れることがあります。
特に以下のような方は注意が必要です。
- エアコンの効いた部屋に長時間いる
- 熱いお湯でシャンプーをしている
- 洗浄力の強すぎるシャンプーを使用している
- 1日に何度も髪を洗っている
皮膚のめくれや小さなかさぶた
頭皮にかゆみがあると、つい掻いてしまいがちです。爪で強く掻くと頭皮に小さな傷ができ、それが治る過程でかさぶたになります。このかさぶたが剥がれると、白い塊として認識されることがあります。
また、頭皮の炎症によって皮膚が剥がれ、それが固まって白いかさぶた状になることもあります。
生活習慣やシャンプー不足の影響
シャンプーやコンディショナーのすすぎが不十分だと、製品が頭皮に残留します。皮脂や汚れと混ざり合い、時間とともに固まって白い塊になることがあります。
生活習慣の乱れも要注意です。睡眠不足は、成長ホルモンの分泌が妨げられ、頭皮のターンオーバーが乱れます。
ストレスは、自律神経のバランスが崩れ、皮脂分泌が異常になります。運動不足は、血行不良により、頭皮の新陳代謝が低下します。
偏った食生活でも、ビタミンB群不足により、皮膚の健康が損なわれます。
乾癬(かんせん)による白いかさぶた状の塊
乾癬は、皮膚の細胞が異常に早く増殖する慢性的な皮膚疾患です。
頭皮に乾癬が生じると、以下のような症状が現れます。
・赤い発疹の上に銀白色の鱗屑(りんせつ)ができる
・厚いかさぶた状の塊が形成される
・かゆみを伴うことが多い
・肘や膝など、他の部位にも症状が出ることがある
乾癬は免疫系の異常が関与していると考えられており、適切な治療が必要です。症状が疑われる場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
黄色い塊は要注意!頭皮から取れるときに考えられる要因
・皮脂の酸化による角栓
・脂漏性皮膚炎による黄色い塊
・トンズランス感染症の影響
皮脂の酸化による角栓
頭皮は体の中でも特に皮脂分泌が盛んな部位です。過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、時間の経過とともに酸化すると、黄色っぽい塊になります。
黄色い角栓ができやすい人の特徴
- 脂性肌の方
- 男性(男性ホルモンの影響で皮脂分泌が多い)
- 思春期〜30代(皮脂分泌が活発な年代)
- 脂っこい食事を好む方
酸化した皮脂は独特の臭いを発することもあり、頭皮の不快な臭いの原因にもなります。
脂漏性皮膚炎による黄色い塊
脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位に起こる慢性的な皮膚炎です。黄色い塊に加えて、以下のような症状が見られる場合は、脂漏性皮膚炎の可能性があります:
脂漏性皮膚炎の特徴
- やや黄色味を帯びた湿り気のあるフケ
- 頭皮の赤み
- かゆみ(軽度から中程度)
- 脂ぎった鱗屑(うろこ状のくず)
- 症状が改善と悪化を繰り返す
マラセチア菌について: 脂漏性皮膚炎の主な原因は、皮膚に常在する「マラセチア菌」という真菌(カビ)の異常増殖です。マラセチア菌は皮脂を栄養源として増殖し、皮脂を分解する際に炎症を引き起こす物質を産生します。
トンズランス感染症の影響
トンズランス感染症は、白癬菌(はくせんきん)という真菌による感染症です。主に格闘技やスポーツを通じて感染することが多く、「格闘技白癬」とも呼ばれます。
症状の特徴
- 円形の脱毛斑ができる
- 黄色い膿を含んだ塊が見られることがある
- かゆみや痛みを伴う
- 放置すると症状が広がる可能性がある
黄色い塊が膿である場合は、早急に皮膚科での治療が必要です。
頭皮の塊を取れるまま放置した場合のリスク
・頭皮のニオイやベタつきが強くなる
・頭皮環境の悪化で抜け毛リスク
・慢性的な炎症やフケ症状の悪化
・見た目の印象や生活の質への影響
頭皮のニオイやベタつきが強くなる
角栓や皮脂の塊を放置すると、以下のような問題が起こります。
- 酸化による悪臭
→皮脂が空気に触れて酸化し、独特の不快な臭いを発生させます - 雑菌の繁殖
→皮脂を餌とする雑菌が増殖し、さらに臭いが強くなります - ベタつきの悪化
→皮脂分泌のバランスが崩れ、髪全体がベタついて見えます
見た目の印象を悪くするだけでなく、対人関係にも影響を与える可能性があります。
頭皮環境の悪化で抜け毛リスク
毛穴が角栓で詰まると、髪の成長に様々な悪影響を及ぼします。
髪への影響
- 毛穴が塞がれることで、髪がまっすぐ生えてこられない
- 髪に必要な栄養や酸素が届きにくくなる
- 発毛サイクル(ヘアサイクル)が乱れる
- 細く弱い髪しか生えなくなる
- 抜け毛が増加し、薄毛のリスクが高まる
特に、AGAなど他の薄毛要因がある場合は、症状を加速させる可能性があります。
慢性的な炎症やフケ症状の悪化
放置された角栓や皮脂の塊は、様々な頭皮トラブルを引き起こします。
- 頭皮ニキビ
→アクネ菌が繁殖し、炎症性のニキビができる - 脂漏性皮膚炎
→マラセチア菌の異常増殖により、慢性的な炎症が起こる - 接触性皮膚炎
→刺激物質により、かぶれや湿疹が生じる - 二次感染
→掻き壊しによる傷から細菌が侵入し、とびひなどを起こす
症状が慢性化すると、皮膚科での専門的な治療が必要になります。
見た目の印象や生活の質への影響
頭皮の塊による影響は、健康面だけでなく日常生活にも及びます。
QOL(生活の質)への影響
- フケが肩に落ちて不潔な印象を与える
- かゆみで仕事や勉強に集中できない
- 人前で頭を掻くことへの恥ずかしさ
- 美容院やヘアサロンに行きづらくなる
- 帽子を脱ぐことへの抵抗感
ストレスがさらに頭皮環境を悪化させる悪循環に陥ることもあります。
セルフチェック!頭皮の塊が気になるときのポイント
・塊の色や質感で見分ける
・かゆみ・赤み・炎症の有無を確認
・抜け毛や髪の状態をチェック
塊の色や質感で見分ける
自分の頭皮の状態を知るために、以下のポイントをチェックしてみましょう。
白い塊の場合
- 乾燥したカサカサの質感 → 乾性フケ、乾燥による角質
- ゴマのような硬い粒 → 角栓
- 薄い鱗状 → 乾癬の可能性
黄色い塊の場合
- ベタベタした質感 → 脂性フケ、酸化した皮脂
- 硬い塊 → 長期間酸化した角栓
- 膿のような質感 → 感染症の可能性(要受診)
かゆみ・赤み・炎症の有無を確認
チェックポイント
- かゆみの程度(なし・軽度・中程度・強い)
- 頭皮の赤みの有無
- 触ると痛みがあるか
- 湿疹やブツブツの有無
- 症状が出る頻度や時期
症状が複数ある場合は、皮膚疾患の可能性があるため、早めの受診をおすすめします。
抜け毛や髪の状態をチェック
塊が多い部位では、以下のような変化が見られることがあります。
- 抜け毛の本数が増えている
- 髪が細くなってきた
- 髪のボリュームが減った
- 分け目が目立つようになった
- 髪がベタついて見える
変化に気づいたら、早めのケアが必要です。
頭皮から塊が取れるのを防ぐためのケア方法
・正しいシャンプーと頭皮クレンジング
・保湿ケアで頭皮のコンディションを改善
・食事や睡眠で整える頭皮環境
正しいシャンプーと頭皮クレンジング
正しいシャンプーの手順
- ブラッシング:シャンプー前に優しくブラッシングし、汚れを浮かせる
- 予洗い:38度程度のぬるま湯で1〜2分かけて頭皮と髪を濡らす
- 泡立て:シャンプーを手のひらで十分に泡立てる
- 洗浄:指の腹で頭皮を優しくマッサージするように洗う(ゴシゴシ洗いはNG)
- すすぎ:シャンプーの2倍以上の時間をかけて、しっかりとすすぐ
頭皮クレンジングのポイントは、週1回程度、頭皮用クレンジングシャンプーやオイルを使用し、「揉み出し洗い」で毛穴の汚れを押し出すようにマッサージしましょう。
炭酸シャンプーも角栓除去に効果的です。
シャンプー選びに迷った場合、洗浄力が強すぎないアミノ酸系シャンプーや頭皮の状態に合わせて選びましょう。(乾燥肌用・脂性肌用など)
抗真菌成分配合のものも検討してみるのも良いでしょう。
保湿ケアで頭皮のコンディションを改善
乾燥は様々な頭皮トラブルの原因となるため、適切な保湿ケアが重要です。
保湿ケアの方法
- 頭皮用ローションを使用(ヘアトニックなど)
- 頭皮用オイル(ホホバオイル、アルガンオイルなど)でマッサージ
- 週1〜2回のスペシャルケア(頭皮パック)
- 加湿器の使用で室内の湿度を保つ
保湿ケアのタイミングとしては、シャンプー後、タオルドライした清潔な頭皮、朝のスタイリング前、乾燥を感じたときに行いましょう。
食事や睡眠で整える頭皮環境
食生活の改善
皮脂分泌を抑える食事
- 脂っこい食事を控える(揚げ物、ファストフードなど)
- 糖質の過剰摂取を避ける(お菓子、ジュースなど)
- ビタミンB群を積極的に摂る
- B2:レバー、卵、牛乳、納豆
- B6:まぐろ、鮭、バナナ、にんにく
- ビオチン:卵黄、大豆、ナッツ類
頭皮に良い栄養素
- 亜鉛:牡蠣、牛肉、チーズ
- オメガ3脂肪酸:青魚、くるみ、亜麻仁油
- ビタミンE:アーモンド、アボカド、ほうれん草
睡眠の質を高める
- 1日7〜8時間の睡眠を確保
- 22時〜2時のゴールデンタイムに就寝
- 寝る前のスマホやパソコンを控える
- 規則正しい睡眠リズムを作る
ストレス管理
- 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
- リラックスタイム(入浴、音楽鑑賞など)
- 趣味の時間を作る
- 深呼吸や瞑想
頭皮の塊が取れる症状で受診を検討すべきとき
かゆみや痛みが強いとき
以下のような症状がある場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
- 我慢できないほどのかゆみがある
- 頭皮に痛みや熱感がある
- 掻き壊して出血している
- 症状が2週間以上続いている
放置すると、二次感染(とびひなど)のリスクが高まります。
黄色い塊が繰り返しできるとき
黄色い塊が何度も発生する場合は、脂漏性皮膚炎、真菌(カビ)感染症など細菌感染の可能性が考えられます。
自然治癒が難しく、適切な治療薬(抗真菌薬、抗生物質など)が必要です。
市販ケアで改善しないとき
受診の目安として下記4つの状況を確認しましょう。
- セルフケアを1ヶ月続けても改善しない
- 市販薬を使用しても効果がない
- 症状が悪化している
- 脱毛を伴っている
皮膚科では、症状に応じてステロイド外用薬、抗真菌薬、抗生物質、ビタミン剤の処方などの処方が行われます。
頭皮の塊に関するよくある質問
頭皮から取れる塊は全部角栓ですか?
いいえ、すべてが角栓というわけではありません。白い塊や黄色い塊など、色や質感によって原因は異なります。角栓以外にも、フケの固まり、かさぶた、皮膚疾患による鱗屑など、様々な可能性があります。
正確な判断のためには、塊の特徴だけでなく、かゆみや赤みなどの他の症状も合わせて確認することが大切です。
頭皮の塊でハゲることはあるのか
角栓やフケだけが直接的な原因で完全にハゲることは稀ですが、以下のような影響があります:
- 一時的な抜け毛の増加
- 髪の成長阻害
- 毛髪の細毛化
- 発毛サイクルの乱れ
ただし、放置して頭皮環境が悪化し続けると、将来的な薄毛リスクは高まります。早めのケアで予防することが重要です。
自分で取っても大丈夫ですか?
無理に取ることは避けましょう。以下のようなリスクが生じます。
- 頭皮を傷つける可能性がある
- 炎症を悪化させる
- 感染のリスクが高まる
- かえって皮脂分泌が増える
正しい対処法として、適切なシャンプーで自然に除去したり、頭皮マッサージで優しく押し出すようにしましょう。オイルクレンジングで柔らかくしてから洗うのも効果的です。
どうしても気になる場合は皮膚科やヘアサロンで相談してみましょう。
他人から見て頭皮の塊は分かりますか?
状況によって異なります。気づかれにくい場合は、少量のフケや小さな角栓、髪で隠れている部分の塊の場合です。
一方で、気づかれやすい場合は、肩や衣服に落ちた大きなフケ、髪の分け目に見える塊、黄色い塊による髪のベタつき、頭皮の臭いなどが原因です。
日頃からケアをしていれば、他人に気づかれることはほとんどありません。
頭皮の塊が取れる原因を理解して健康な髪を守ろう
頭皮から取れる塊には、角栓、フケ、かさぶた、皮膚疾患など様々な原因があることが分かりました。白い塊なのか黄色い塊なのか、その色や質感によって原因や対処法も異なります。
大切なのは、自分の頭皮の状態を正しく把握し、適切なケアを継続することです。正しいシャンプー方法、保湿ケア、生活習慣の改善など、日々の小さな積み重ねが健康な頭皮環境を作ります。
もし症状が改善しない場合や、かゆみ・痛みが強い場合は、迷わず皮膚科を受診しましょう。早期の適切な治療により、症状の悪化を防ぎ、健康な髪を守ることができます。
頭皮の健康は、見た目の美しさだけでなく、将来の髪の健康にも大きく影響します。今日から始められる頭皮ケアで、トラブルのない健やかな頭皮を目指しましょう。