がん治療と食事

患者さんが1人でも簡単に作れる食事の工夫② 電子レンジだけでバランスの良い主菜を

監修:千歳はるか(ちとせ・はるか)国立がん研究センター東病院  栄養管理室長

2018年5月16日

「できたての温かい食事が理想だけれど、焼いたり、炒めたり、火を使うのは面倒」という患者さんは少なくないでしょう。料理経験のない男性患者さんの中には、ほとんどスーパーやコンビニのお弁当ですませる人もいるようです。

市販のお弁当でも栄養バランスの取れたものはありますが、ほとんどの場合、脂質と糖質に偏りがちで、野菜不足が問題となります。
料理初心者でも電子レンジなら簡単に扱えますので、野菜不足の解消に活用してはいかがでしょう。野菜は適当な大きさに切って(手でちぎってもOK)、ラップをしてセットするだけです。

葉野菜などはごく短時間の加熱で、しんなりしますから、「生野菜は硬くて食べにくい」という高齢の方にも最適です。生で食べられる野菜は火が通りやすいので、例えば、それを市販のお総菜の横に盛り付け、レンジで一緒に温めて食べるようにすると野菜を食べる習慣が身に付きます。

今回の献立「豚肉とキャベツの重ね蒸し」も、肉のタンパク質と野菜の栄養素が同時に摂れるように工夫しました。仕上がりの美しさを考えて重ね蒸しにしましたが、重ねずに並べてもかまいません。

ご飯にもパンにも合う主菜で、豚肉をベーコンや魚に替えたり、違う種類の野菜を使ったりと工夫することで、いろんな味が楽しめます。また、電子レンジ料理は、調理に使った食器のままテーブルに出せますから、洗い物が少なくてすむという点でも便利です。

がんの治療中は、気持ちが沈むこともあり、そんなときは簡単な料理作りが気分転換になるかもしれません。好きな食材を使って、自分流のアレンジを楽しんでみてはどうでしょう。

 

豚肉とキャベツの重ね蒸し〜トマトレモン風味

 

■材料(1人分)
豚肉(薄切り)60~80g/キャベツ大2~3枚/トマト中1/4個/レモン
スライス2~3枚/水大さじ1~2/コショウ、パセリ、塩少々

■作り方
① キャベツは重ねやすい大きさにカットし、トマトは薄切りにする。

② 耐熱容器にキャベツ、豚肉、トマト、レモンの順で重ねる(塩、コショウをなじませながら)。具材がなくなるまで繰り返して層を作る。

③ ②に水を加えて、ふんわりとラップをかける。600Wで5~6分、様子を見ながら全体がしんなりするまで加熱する。

④ 仕上げにパセリを添える。

柏の葉料理教室 開催中!
国立がん研究センター東病院栄養管理室(千葉県柏市)主催で、がん治療に伴う諸症状に悩む患者さんやその家族を対象とした「柏の葉料理教室」が開催されています。
http://www.ncc.go.jp/jp/ncce/division/seminar/about_cooking.html
開催日:原則として第2・4水曜日
開催時間:12:00〜14:00 ※11:50〜受付開始
参加費:材料費として600円
申し込み・問い合わせ:国立がん研究センター東病院栄養管理室
TEL:04-7134-6909(2日前までに)

千歳はるか 国立がん研究センター東病院栄養管理室長

ちとせ・はるか●旧・国立東信病院(栄養士)、国立病院機構東京医療センター(副栄養管理室長)など6カ所の病院を経て、2015年4月より国立がん研究センター東病院栄養管理室長となる。(取材時現在)

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