がんと食

患者さんが1人でも簡単に作れる食事の工夫① 火を使わずにワンプレートで

千歳はるか
国立がん研究センター東病院栄養管理室長

「2人に1人ががんになる」という時代ですから、1人暮らしの人が、がんに罹患する確率も高く、そういう方たちは食事から身の回りのことまで、すべてをご自身でこなしています。なかには料理が苦手の方、あるいは料理経験がないという男性もいるでしょう。そこで「1人でも簡単にできておいしい献立」の提案もまた、私たちの役目だと思っています。

まず、火を使わずにワンプレートでできる料理から挑戦してみましょう。例えば抗がん剤の治療中は、ちょっとした洗い物でも負担に感じます。鍋やボールなどは使わず、直接皿の上で調味して、そのまま食べられるという手軽さも魅力です。

火を使わない調理に慣れたら、次は電子レンジやオーブントースターを活用し、その次は鍋やフライパンを使って加熱するというように、少しずつ料理に慣れていくと、だんだん楽しくなってくるはずです。

1日3回の食事を自炊するのは大変ですが、3回ともコンビニのおにぎりや菓子パンですませていては、炭水化物や糖質ばかりを摂ることになり、ビタミンやミネラルが不足しがちになります。「1食ぐらいはバランスのよい料理を工夫してみよう」と軽い気持ちで始めてみてはどうでしょう。

今回は、食材を切って和えるだけでできる「サラダご飯」を紹介していますが、治療後のだるさから食材を切るのも面倒という人は、市販のサラダや好きな総菜を自分流に組み合わせるだけでもかまいません。無理をせず、楽しみながらおいしさを追求すること。それが治療を乗り越える原動力になって、体力アップにもつながっていくことでしょう。

 

常備しておくと便利!

治療中のがん患者さんの食欲にはムラがあって、「食べたい」と思って買ってきた食材でも、食事の準備の段階になったら、「食べたくなくなった」ということがよくある。生魚や生肉はムダになる可能性が高いので、缶詰、フリーズドライやレトルト食品、賞味期限が長めのスタンドタイプの総菜やサラダなどを常備しておくと便利。
また、塩、コショウ、しょうゆやみそなどの他、数種の調味料をそろえておくと、味の変化が楽しめる。例えば、マヨネーズ、ドレッシング、めんつゆ、ポン酢、焼き肉のタレ、塩昆布、レモン汁など。マヨネーズはポン酢やめんつゆでのばすと違った味わいになる。ドレッシングは生野菜以外の和え物にも使えるし、生野菜を塩昆布でもんだり、焼き肉のタレと合わせたりするとサラダとは違った風味に。吸い物の素を調味料代わりに使い、うどんやパスタに和えるのも1つのアイデア。

 

市販のサラダや総菜を組み合わせるだけでもできる「サラダご飯」

■材料(1人分)
ご飯…茶碗1杯分 すし酢…少々 サケフレーク…20g 市販の温泉卵…1個 サニーレタス、べビーリーフ、キュウリ、トマトなどの野菜…適量 ドレッシング(マヨネーズ、牛乳、レモン汁、しょうゆなどを混ぜたもの)…適量

■作り方
① 温かいご飯(炊いたものでも、パックご飯でもOK)にすし酢を混ぜ合わせる。サケフレークを加えてさらに混ぜたら、冷ましておく。

② 水洗いした野菜は適当な大きさにカットし、よく水気を切っておく。

③ 器にご飯を盛り、その上に野菜をのせ、野菜の中央に温泉卵を割り落とす

④ ドレッシングをかけて仕上げる。
 

柏の葉料理教室 開催中!
国立がん研究センター東病院栄養管理室(千葉県柏市)主催で、がん治療に伴う諸症状に悩む患者さんやその家族を対象とした「柏の葉料理教室」が開催されています。
http://www.ncc.go.jp/jp/ncce/division/seminar/about_cooking.html
開催日:原則として第2・4水曜日
開催時間:12:00〜14:00 ※11:50〜受付開始
参加費:材料費として600円
申し込み・問い合わせ:国立がん研究センター東病院栄養管理室
TEL:04-7134-6909(2日前までに)

千歳はるか 国立がん研究センター東病院栄養管理室長

ちとせ・はるか●旧・国立東信病院(栄養士)、国立病院機構東京医療センター(副栄養管理室長)など6カ所の病院を経て、2015年4月より国立がん研究センター東病院栄養管理室長となる。(取材時現在)

同じシリーズの他の記事一覧はこちら