がんとQuality Of Life

患者さんとご家族のために、病気や心、暮らしのことまでも一緒に考えていきます…がんと「こころ」①…

がんと告知されて動揺しない人はいません。ほとんどの患者さんが、突然の告知によるショックや不安に押しつぶされそうになります。がんそのものを治療するということと同様に、多くのがん患者さんが抱える心の問題をサポートし、ケアをすることの重要性が認知されつつあります。こうしたがん患者さんやご家族のサポートに国内でも早くから取り組む、小川朝生先生に話を伺いました。

vol.7_ganQOL_01

近年、様々な新薬や治療法の開発が進み、効果も上がっているがん治療。検査技術も向上していることから、初期がんの場合は完治する可能性も高く、その意味では患者さんやご家族の心の負担が軽減されているとも言えます。それでも、がん告知を受け止めるのは容易ではありません。

一方で人間の体は、強いストレスを受けても時間とともに回復しようとする力ももっており、患者さんの多くは、担当医と十分に話し合ったり、ご家族と助け合ったりしながら、動揺やショックといったつらい精神状態を徐々に乗り越え、前向きに治療に向かっていきます。

がんの告知を受けて、頭の中が真っ白になってしまうということは多くの患者さんが体験することです。一時的にひどく動揺したり、落ち込んだりしても、それが永遠に続くことはありません。通常は数週間程度で落ち着いてくるため、こうした時期に心配し過ぎたり、自分を責めたりしないことです。まずは、きちんと食べて眠ること。極力、これまでの日常を崩さずに、基本的な生活を続けましょう。それはご家族も同じことで、無理な看護で体や心のバランスを崩してしまっては元も子もありません。

vol.7_ganQOL_02

しかし、なかにはうつ病や適応障害などの症状を発症する患者さんもいらっしゃいます。そういう患者さんたちの心と体のケアのために、1960年代、アメリカで誕生したのが、精神腫瘍学(サイコオンコロジー)という学問です。乳がんの全摘手術を受けた患者さんの心と体の問題をいかに支えるかという課題からスタートし、80年代になると、がん告知のショックを和らげるという点に重点が置かれるようになりました。

そして、現在では、認知症の患者さんや在宅の問題など、様々な面でのサポートを目指しています。日本でも、2007年の「がん対策基本法」の施行をきっかけに、こうした取り組みが推進される傾向にあります。

次のページへ

同じシリーズの他の記事一覧はこちら