がんと食

治療中・手術後の食欲不振を乗り切るために

「焦らずに、食欲不振の原因を見極める」

抗がん剤や放射線治療中、手術後には、思うように食べられないと悩む患者さんが多くいらっしゃいます。また在宅の場合には、患者さんだけでなく、食事を準備する家族も「食べてくれない……」と不安を募らせるケースが少なくありません。こうした場合には、まず「食欲不振の原因」を知ることが大切。食欲不振の背景には複数の要因があり、その原因が分かれば、それぞれに対応した方法で食事の工夫をすることができます。

食欲不振のおもな原因

食欲不振のおもな原因

たとえば吐き気・嘔吐や口内炎など、化学療法にともなう副作用がある場合には、お茶漬けやそうめんなどの口当たりがよく、においの少ない食事だと比較的無理なく食べることができます。また抗がん剤治療後には、味を感じるための舌の「味蕾(みらい)細胞」がダメージを受ける等の理由により、多くの患者さんに味覚障害が出現し、その割合は6〜7割とも言われています。「味を感じ難い」「何を食べても苦い」などの場合は、レモン汁やゆず、シソ、ショウガなどの香味を使ったり、だしをしっかりときかせて、香りや旨味を利用すると良いでしょう。どんな味付けが美味しく感じるのかを、患者さんと食事を用意する方が協力して見つけていくことが大切です。

そして食欲不振を抱えている際に重要なのは、無理に食べようとしないこと。三食をいつもの食事時間に食べられなければ、1回の量を小盛にして間食を摂ってもいいし、食べたいと思うのであれば、たとえカップ麺でも優先して摂って構いません。ずっとカップ麺では困りますが、いずれほかのものも必ず食べられるようになります。つまり症状に応じ、臨機応変に対応すれば良いのです。口から食事を摂ることは、自信や精神的な安定感にもつながります。患者さんと家族がしっかりコミュニケーションをとり、焦らずに少しずつ試してみましょう。

次のページへ

同じシリーズの他の記事一覧はこちら